
教育目標:化学教育プログラム/化学応用教育プログラム
現在の科学技術や豊かな日常生活を支えているものの中では、化学物質や種々の材料が果たしている役割は非常に大きい。例をあげれば、石油や原子力のようなエネルギー源、金属、プラスチックおよびセラミックスのような構造材料および機能性材料、有機や無機の工業薬品、医療品、農薬、電子材料、繊維製品、バイオ製品等限りがない。これらの物質・材料・エネルギーを研究開発し、生産して、有効かつ安全に利用するためには、ミクロ的・マクロ的視野からの物質の合成法、物性・反応の解明、有機物質・材料の設計、エネルギー・生産などのシステム開発、装置設計、有効利用法の開拓、安全性確保及び環境汚染防止に関する総合的な学問体系が必要である。物質工学科の化学コース及び物質のシステムとデザインコースは、これらの物質・材料・エネルギーに関連する広範でトータルな課題に対し、系統的な教育・研究を行うものである。
学習・教育目標
深い教養と豊かな人間性を培う
(A)国際的な視野を持ち、社会における諸問題を異なった立場の視点から多角的かつ総合的にとらえることのできる深い教養と豊かな人間性を培うと同時に、豊かな人類社会の実現のために科学技術における物質やエネルギーがもつ意味・果たす役割を理解するための素養を身につける。- 物質工学技術者としての一般教養を身に付ける。
- 文化・社会科学技術における物質工学の位置を知る。社会における物質工学の役割を理解するとともに、物質工学が社会に成しうることを理解する。
- 科学技術者の倫理、社会的責任と役割を理解する。
一般的基礎学力を身につける
(B)物質の性質を理解し、有用な物質やエネルギーを効率よく生産し、有効かつ安全に利用するために必要な一般的基礎学力を身につける。- 世界標準情報技術(ネットワーク、電子メール、ワードプロセッサ、表計算、プレゼンテーション)を学び、これを応用して、自己表現方法と数値データ処理法の初歩を身につける。
- 数学、物理、化学、物質工学における基本的法則、理論と手法の基礎を理解する。
- 物理および化学の実験に用いられる基本的器具の使用方法、基本的実験操作および測定データの処理法を学ぶ。
- 物質工学における基礎的諸方法を応用して、実験の過程で観察した事実や得られた結果を客観的に考察し、報告書を作成できる。
柔軟な応用力を身につける
(C)高機能・高品質の物質を創出し、あるいは環境に調和した物質やエネルギーを生産し、利用するための柔軟な応用力を身につける。- 応用化学と化学工学による物質・エネルギーの創出の例を通して、科学技術者の倫理、社会的責任と役割を理解する。
- 応用化学・化学工学の具体的専門知識を理解する。
- 応用化学・化学工学の専門知識を応用して、実験の過程で観察した事実や得られた結果を客観的に考察し、報告書を作成できる。
能動的・継続的かつ創造的な学習・研究態度を身につける
(D)物質やエネルギー、環境に関する解決すべき問題を把握し、現実における制約を考慮しながらその解明にいたる方法を自らデザインし、計画的に客観性ある結論に達することができ、かつ国際社会においても他と対等に議論・協力・伝達・継承できる能動的・継続的かつ創造的な学習・研究態度を身につける。- 研究の実践で必要となる専門知識・分野を自ら判断し、文献などを収集・理解し、研究に応用することができる。
- 社会において求められる物質工学的具体的課題を的確に理解・認識し、これを解決するため、自然科学等の基礎学力を集約して、自ら実験・研究をデザインし、それを実践することができる。
- 研究の背景と目的、および結果・考察・結論を客観的に文章表現し、報告・発表ができる。
- 外国語で発表されている研究論文などの文献を調べ、報告することができる。
- 研究に必要な文献を自ら検索し、読み、必要事項をさらに詳細に調べ、他者に対して発表し、議論することにより、専門知識を深めることができる。
- 与えられた期間と研究環境において達成しうる目標を定め、研究を進め、結論を得ることができる。